空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

給食

給食の時間、人気のあるメニューはたいてい口には入らなかった。デザートの類いとか。
いつだったか絵にかいたような子どもが大好きなメニューが出たことがあった。
あげパンと、ラーメンと、牛乳かんかなにか。
パンがたぶん二つと牛乳かんはあっさり持っていかれてしまった。ラーメンだけが目の前に残る。いつもはこんなに大盛りじゃないのに、きょうに限って量が多いのはとられるのを見越して誰かがよそってくれたせいか。
まぁ、でもなにも口に入らないわけじゃないし、午後はじっとしていれば大丈夫だろうし(そもそも遊んでくれる人などいないわけだし)。
そう思って食べようとした。思い込みとかそんなのではなくて、諦めの境地で。
すると「なんだよ、それしかないのかよ」と声がした。僕のことを一番嫌っていたヤツ。
「だったら言ってくれれば取っていかなかったのに。」
そういって、パンが一コ、戻ってきた。あ、食べられるんだ。食べていいんだ。
そう思った途端に涙が出てきた。自分でもバカだなぁと思うのだが、たかがパン一コくらいで泣いたのだ。
さすがにそいつも呆れたのか「言えばいいだろう! バカかお前は」と怒鳴ってきた。確かにそうだ。
周囲のうんざりとした顔にこんなのでごめんなさい、僕が悪いんだよごめんなさい、と心の中で言いつつ、ラーメンをすする。ほんのちょっとしょっぱすぎる味だった。