空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

ムダな抵抗

先生が転校生がくるから、といったときに
クラスの中の何人かがこっそりこっちを見て顔をしかめたのを
僕は見逃さなかった というか
そんなことするわけないだろ と思った
転校生にあれこれ世話を焼いて 何も知らないのをいいことに
自分の味方につけようだなんて そんな姑息なこと 今どき
テレビドラマでもやらないだろう 中学生日記じゃあるまいし
そう思って僕は知らん顔をすることにした
クラスに入ってきたそいつは型通りの挨拶をして用意された座席に座る
もちろん僕に話しかけてくることもない
 
本当はきっとチャンスだったのだと思う
もしかしたら話のあう人だったのかもしれないし
一生に一回くらいはいいことだってあるかもしれないし
(大丈夫、そんなことは絶対にないから)
 
昼休み
当然のように人が群がる 気持ち悪いくらいにうるさい
何を話しているかわざと聞き取らないように外を眺めていた
いつもすることと同じだった それしかできなかった
一瞬静かになって「それ、知ってる。噂で聞いた」と聞こえて
ワッと歓声が上がった いやな予感がした
多分それは当たっているのだと思った
声のほうを見なかったけれど 視線は確実にこっちを向いていた
ああ、そうなんだ やっぱり やらなくて正解だったんだ
そう思って どんな噂なのか気になったけれど無視することにした
突っ伏した目から涙が出そうになった