いろいろいっぺんに変わっちゃうと戸惑ってばかりになりますね。添嶋です。
とある方から、本の仕様を聞かれたので、ここにメモ程度に公開しますね。「文芸コンピレーション input selector」を作ったときの話です。
使ったのはちょこっと製本工房さん。とにかく安く作れるのがいいところです。そのかわり、選択肢がそんなにないので、凝った本を作るのにはむいてないかもしれません。ただ、たくさんありすぎても、経験値の少ない人には迷うだけなので、ここで慣れてから他に行ってもいいかもしれないなーと思います。
ポプルスさんはイベント会場に直接配達してくれるので、当日楽です。オンデマンドでもけっこういろいろ仕様を選べるので、僕は好きです。思ったより高くないしね。
本の仕様(印刷所篇)
これはちょこっとさんにお願いした見積もりから抜き出したもの。
- 冊子のサイズ A5
- 本文の印刷方法 モノクロ(スタンダード)1200dpi印刷
- 製本方法 くるみ製本
- 本文の種類 書籍用紙72.5kg(淡クリームキンマリ)
- 表紙の種類 マットポスト紙・220kg(高品質フルカラー印刷)
- オプション加工 表紙・PP加工
印刷方法ですが、ここは2400dpi印刷もあるんですけど小説とか僕がよく作る写真詩集みたいなのだったら、1200dpiのほうで十分きれいに出ます。オンデマンド印刷だからあんまり過度に期待してもね。もう一つよく使う印刷屋さん、ポプルスさんも1200dpiのオンデマンドじゃなかったかな。
くるみ製本というのは他で言うところの平綴じですね。いわゆる書籍な感じの製本です。
本文用紙は淡クリームキンマリなので、ちょっと黄みがかった感じの紙です。小説本だったらこっちのほうが読みやすいと思います。真っ白の紙もいいんだけどちょっと目にまぶしく感じるかもしれません。モノクロ写真だとちょっと色が変わってみえるので、本当にモノクロ写真として見せたいのなら上質紙のほうをおすすめします。
厚みは72.5kgか90kgが一般的。数字が多いほうが厚いです。なので、裏うつりもしにくい。文芸コンピでは72.5kgを使用しました。ちなみに写真詩集の時は90kgで作りました。
表紙はとくにこだわりがなければアートポストかマットポストで十分です。厚さは選べるなら200kgか220kgを選べば間違いないです。
表紙の加工はすることをおすすめします。追加料金が発生しますが、印刷がこすれてはがれるのが防げます。あとちょっと高級に見える(笑)。ちょこっとさんのはツルツルテカテカした感じの加工だけになります。
ポプルスさんだとこの表紙加工がいろいろ選べるんですけど、たくさんありすぎてよくわかんないかも。僕はテカテカしたのがあんまり好きじゃないので、マットコートを選んでました。
この他、表紙と本文の用紙のあいだに紙をはさむ(遊び紙)こともできます。これは本のイメージに合わせて選びましょう。雑誌ぽく作るんならいらないかもしれない。
本の仕様(編集ソフト篇)
最近はもうずっとInDesignCS6をつかっているので、これの設定値だけざっくり紹介しておきます。本のサイズはA5。本文2段組です。
サイズはフォントサイズ。13Qか12Qあたりが一般的だと思います(たぶん)。12Qで8.5pt相当だったかな。13Qで9.2pt相当だそうです。フォントはAdobe製品についてくる小塚明朝が好きなので、これを使いました。後ろのLっていうのは文字の太さ。Light(細め)を使っています。R(Regular)でもいいかもしれない。それは好みで。
天地は上下方向の余白。ノドは閉じ方向の余白、小口はノドの反対側。あんまりノド方向に詰めちゃうと大きく広げて読まないといけないので実は読みづらいです。
実際には自分の好きな雑誌や同人誌の真似をするのがいいかもしれませんね。
その他使っている設定を列挙しておきますね。
- 禁則処理「弱い禁則処理」
これに、閉じカッコをぶら下がりに、三点リーダ、ダーシなんかを分割禁止に追加しています。 - 行末受け約物全角/半角・段落一字下げ(起こし食い込み)
これを選んでおくと、段落はじめを一文字下げなくても自動で下げてくれるよ! - Adobe日本語単数行コンポーザー
ここら辺は参考にした本と、検索したところで自分にとって最良のものを選んだつもりなので、詳しくはググってください(ホントにすまん)。
ここから下はWordで同じように設定してみた参考値。たぶんそんなに悪くないと思うんだけど。
こんな感じかなあ。ちょっとやったことがないのでだいぶ適当ですけど。フォントはヒラギノ明朝w3、9ptを想定しています。Wordで小塚明朝は縦書きにするとなぜか文字が詰まっちゃって使い物にならないようなので。
編集のしかたはここではふれません。僕よりも詳しい人がいると思うのでそちらを参考にしてください。ごめんなさい。たとえば、ルビを振りたいときなんかで、行間を固定にしておかないとえらいことになったりするらしいです。
例えばこういうところとか:ワードで同人誌、コピー本、小説本を作る | 同人誌をつくる
以下はおまけ情報です。書き出してみたけれども、ざっくりすぎるかもしれません。
書き出し
Wordから書き出すなら、Acrobatがあればそれを使う。もしなくても、Macなら標準の書き出し機能があるのでそれを使えばいいです(フォントも埋込んでくれるし)。WindowsはCUBE PDFがあるからそれを使うといいと思う。反則だとは思うけど、本文中にイラスト入れても実はわりとなんとかなったりする(仕上がりはそんなにきれいじゃないけど)。
InDesignなら、ここから直接書き出せるので、それを使いましょう。画像を入れた場合は圧縮をかけない(ダウンサンプルも圧縮もしない設定にする)。フォントの埋込みはする。「PDF/X1a:2001」の形式を選んでおけば間違いは少ないはず(ポプルスさんはできたらこの形式で、っていう指定があったはず)。
画像
Fireworks→PhotoshopElements→Photoshopと変遷してきたけれども、Elementsがあればだいたいなんとかなる。psdで提出できるところはそれですればいいし、PDFで保存したらどこでも通用します。FireworksはIllustrator仕事の一部ができるので悪くはないんだけど、いかんせんWEB用の画像編集ソフトなので、高解像度、大きいサイズのファイルにはむいてません。だいぶ工夫しないとかなりきつかったです。
モノクロなら600dpi、カラーなら300dpiか350dpiで。作りたいサイズプラス上下左右に3mmずつ余白を足しましょう。そしたら、仕上がりサイズいっぱいに絵を入れてもきれいにできます。背表紙の厚さの分も忘れないようにしましょう。ここら辺はもっと詳しいところを参照してください。
ちなみに、デザイン苦手でも、表なら表紙サイズを上下方向に三等分して、真ん中に絵、上にタイトル、したに著者名(とサークル名)を入れればなんとか形になる!! 裏なら、ど真ん中にサークル名とかいれとけばいいし。そうやって乗り切ってきたのでした。ちょうどこんな感じです:
……と言うわけで、超ざっくり書き出してみました。基本的に、調べれば出てくるようなことばかりですが(テクニック的なところは)、設定とか案外迷うもんね。参考になるかならないかわかんないですけど(ならないかもしれない、その時はごめんなさい)。