自由時間になったら合図をするから非常階段の踊り場で。僕たちはそう約束していた。いつもなんとなく出来なかった「二人っきりになる」が現実になるのかな、とか思ったけれどみんなに邪魔をされて合図も出来ない。焦る気持ちだけが過ぎていく修学旅行の夜

……また迷った。 今度こそ君に内緒で家までいこうと思ったのに。 ネットで調べた通りに電車を乗り継いで駅から歩いてきたのに。 何を間違ったんだろう。 君に会いたいだけなのに。 ……という遊び。 誰もいない街で一人、知らない景色を探して歩く。疲れてきた。

遊覧船に乗った途端に手すりにもたれて眠ってしまった。 つまんないの、と思ったけど仕方がない。 徹夜したあとにここまで連れてきてくれただけでも大したもんだと思うから。 宿に行ったらそのまま寝ちゃうのかな。 それはちょっと。まだ何にも始まってない…