空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

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ぼくはくま

君のそばにいて僕が出来ることは君の言葉を黙って聞くこと、君の涙をそっとふくこと、君が眠れない時に一緒にいること。 これくらいしかないんだ。 あの日、君が見つけてくれた時に僕がどれほどうれしかったか君はわかるかい? いつか僕のことが必要なくなっ…

メリークリスマス

季節になったのでクリスマスツリーを飾った。お菓子やプレゼントを用意した。どなたさまも遊びに来てください。小さな看板を立てた。そんなことがなんの意味もない事くらいわかっていた。嘘をついて人を呼んでもいつかは離れていく。ただ君に帰ってきてほし…

タイムリープ

「その時まで覚えていてね」未来へと帰る君は言うけれど、その時にはきっと声もかけられないだろう。僕はその時までの年数ぶん、年を取る。君はいつまでもそのままなんだよ。どうやってギャップを埋められるというのだろう。そのことを君がわからないわけが…

自己アピール

クラスメートがぶっ倒れた。生徒会の選挙に立候補させられて慣れない自己アピールを続けたからだった。「まったく、無理しちゃって」ため息をつきつつ先生が保健室へ運ぶ。みんな同じことを思ってはいたが口に出来なかった。その、無理をさせているのはどこ…

君は知らない

どうしてもどうしてもどうしてもそうしたかったので、真夜中、眠っている君にそっとキスをした。朝。「なぁ、なんか変なことがあったような気がするんだけどしらない?」「なにが?」「誰かにチューされたような」「知るかよ」うん。知らない。僕が君をどう…

本2

マーケットプレイスで本を買った。送られてきた中に見憶えのある字で「久しぶり。面白いといいなあ。また感想聞かせてね」という手紙があった。送り主を確認すると高校の同級生だった。会わなくなってだいぶ経つのにまだ好きな物が一緒ということが嬉しかっ…

本1

さて。と店長は深呼吸する。お前ら、ちゃんと教えたとおりの場所におさまるんだぞ。店長はモップを高くあげると「各自持ち場へ! お客さんがみんなを待っているぞ!」声をかけた途端、今日入荷の本が一斉に棚に向かって飛んでいった。「あとは俺に任せろ」今…

Quest2

朝、起こしてもちっとも起きないので「おお、勇者タカシよ。死んでしまうとはなにごとだ」と言ったけどピクリともしない。「返事がない。ただのしかばねのようだ」と続けると「うーるーさーいーうーえーにー使い方が違うー」と動きだした。いいかげんにしな…

別れの情景4

僕たちの恋は内緒だから、混んだ駅の中、微妙にくっついて手もふれるかふれないか。別々の電車に乗る直前、一度だけぎゅっと手を握ってなにも言わずに「また明日」後でメールするね。ずっと好きでいてね。するりと手が離れていく。それはたぶんスローモーシ…

ファーストデイト

初めてデートに誘って、お気に入りの喫茶店に入ったばかりなのに君はもう帰りたそうにしている。僕といてもつまんないのかな。どうしよう。誘わないほうがよかったのかな。これからのプラン、全部なしにしたほうがいいのかな。僕は君の顔を見ることができな…

別れの情景3

どちらからともなく別れ話がでて、そのまま二人は無口になった。人混みの中、互いの場所も確認することもなく、いつのまにか離ればなれになった。一瞬探したがすぐにやめた。その必要はなくなったのだ。始まりがそうだったように終わりもまた、無意識の出来…

けいとだま(take-2)

マフラーを編んだ。恥ずかしかったから夜中がんばった。こんな暗号みたいなのを解読できるなんて女子はすごいと思う。正体を隠してあいつに渡した。ものすごい喜んでいた。ばれたら嫌われるだろうか。ある日、この前のお礼と包みを渡された。欲しかったコー…

僕の人生は僕が決める

休日くらいゆっくりしたいと親がいうので家のことを一通りやってから学校で必要なものを買い出しに出た。たぶん親は僕が何をしているか知らない。どの学校に行きたいかとか、早く独立したいとか。売りやってることも。自分の人生は自分でなんとかしろと言う…

Quest

「俺、世界を救いたいんだよね」ガードレールで綱渡りしながら君は言う。ガキじゃあるまいし。「とりあえずお前は死ぬな」なんでまた(それを知ってる)。「いつか世界の半分をお前にやるからさ」別にいらないよ。僕勇者じゃないし「俺を一人にするな」素直…

めんどくさいふたり

あいつがあまりにも僕を信用してないから君らを誘うのをやめにしたんだ。どこか行きたいところがあるなら二人で行けばいい。自分たちの都合のいいときだけ声をかけて、こちらが声をかけたときに邪推されると苛立たしいだけなんだ

泣かないで

枕元で子どもが泣いている。「大人になっても寂しい?」大丈夫。なんとなくどうしたらいいかわかるようになるから。無意識のうちに布団に入れ、ぎゅう、と抱きしめる。「僕が死んじゃったら?」死なないよ。だって大人になってこうやって君といるだろう? さ…

コンサートの夜

ずっと待ってたのに結局コンサートに君は来なかった。チケット持ってたから僕も中に入らずにいた。終演。人の波に流されそうになってチケットがムダになったことを知った。しかたない。なにかあったのだろうと思ったとき。「あれ、なんでいるの?」君は別の人…

M

まるでたちの悪い映画みたいな状況に遭遇しているのに、自分でもびっくりしている。その手に持っているものは返さなくていいから。そういうと、君はもっと責めてほしいような顔をした。もう友達なんかじゃないとか言えばよかったのかな。

別れの情景2

会いに行くよ、と連絡すると今はちょっと、とつれない返事。きっとそういうことなんだろうと思って黙って行ったらやっぱりそういうことで。僕じゃない誰かと見たことのない君。未練がましいのは嫌だけど、きちんと話してほしかった。もう無理なんだなぁ。僕…

カボチャ大王

ほんとうはカボチャ大王なんて来ないってわかってるんだ。でもしたくもない仮装をして行きたくもないご近所行脚に出て、いるかいらないかわからないお菓子を(たいてい嫌いなものばかりなんだけど)もらうのは我慢ならないんだ。少なくとも畑にいればそんな…

遅刻したって走って急いでひどい雨の中、君の待つ時計台の下まで。腕組みして背中丸めて雨から逃げるように君はしかめっ面して。寒かったでしょう? 手のひらを頬に当てると二人の体温が同じになっていく。このまま雪になればいいのに。そう言うと、凍えるの…

bitter/sweet

PerfumeのDVDを見て泣いている.「なんだそんなによかったか?」ちゃかそうと思ったら「初恋の人ににてるんだ」とぽつり。「え、どれ?」指を差す。「あー。あいつかー」今でも好きなんだ、といったまま黙ってしまった。テレビからチョコレイトディスコが鳴り響…

妹ってそんなにいいですか

放課後、妹っていいよなぁとヤツはほざくので「なわけあるか。パンツ一枚でいるの見たらゲンナリするぜ」と返す。夢のようだと吠えるのをガン無視した。帰宅。妹はソファで寝ている。ったく、こんなののどこがいいんだか。頭に来たのでソファを蹴っ飛ばす。…

別れの情景

もう冷たいね、と波打ち際で遊ぶ君。二人で会うのはこれで終わりにしようと決めて、でも平気な顔をする。わりと。「約束、守れなかったな」「そんなことないよ。あたしが飽きるまでつきあってくれた」ああ、君は。

君の好きなもの

さて困った。お土産を買っていこうと思うのだけど、君がなにが好きなのかを僕は知らない。佐藤だったらおでんとかビールとかそんなんでいいんだけど。店内を3周しておすすめ!って書いてあったエクレアと午後の紅茶を持ってレジを通る。こんなんでも喜んでく…

修学旅行

自由時間になったら合図をするから非常階段の踊り場で。僕たちはそう約束していた。いつもなんとなく出来なかった「二人っきりになる」が現実になるのかな、とか思ったけれどみんなに邪魔をされて合図も出来ない。焦る気持ちだけが過ぎていく修学旅行の夜

君に会いに

……また迷った。 今度こそ君に内緒で家までいこうと思ったのに。 ネットで調べた通りに電車を乗り継いで駅から歩いてきたのに。 何を間違ったんだろう。 君に会いたいだけなのに。 ……という遊び。 誰もいない街で一人、知らない景色を探して歩く。疲れてきた。

ゆうらん・船

遊覧船に乗った途端に手すりにもたれて眠ってしまった。 つまんないの、と思ったけど仕方がない。 徹夜したあとにここまで連れてきてくれただけでも大したもんだと思うから。 宿に行ったらそのまま寝ちゃうのかな。 それはちょっと。まだ何にも始まってない…

レンタル

「そろそろレンタル期間が終了しますが」と連絡があった。 「出来れば延長か再レンタルをお願いしたいのですが」 だってこんなに楽しいの初めてだし、と思っていたのだが 「申し訳ありません、該当のモノが生理的に無理と申しておりまして」 レンタル友人に…

みんな知ってる

いつもなら教えられたように「積極的に動いて」二月くらいでやっぱダメでしたって教室の隅でどんよりするのだけど、今年はもう最初からおとなしくすることにした。もう噂が回ってるみたいだった。どの道逃げ場がないなら誰かに優しい声をかけられて騙される…