空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

感想をいくつか(その3)

今回文学フリマで手に入れた本はたくさんあるので読んでて楽しいです。久々に長文を読む気力が戻ってきている感じです。今のうちにたくさん読んで自分の肥やしにするのだ。

それでは感想エントリ三回目。

  • 「ジョソウダンシ!!」伊藤鳥子(絶対移動中)と霜月みつか(1103号室。)
    霜月さんの作品を拝読したのはフリーでいただいたもの、鯨鳥三日と続いて三つ目。伊藤さんのは初めて(だと思う)。
    別の方が「陰と陽」といっていたと思ったが、あんまりそれを意識せずに読んだ。女装をしているのは「カヲルコ」と「かおる」でどちらもほぼ同じ名前。でも同一人物じゃない。あえて接点を探せばそれだけ。
    霜月さんのは意識して読もうとしなくてもどんどん目や頭や心に飛び込んでくる。そして、圧倒的な力でストーリーを読む者に突きつけてくる。他方、伊藤さんのは読むことを意識して読めば物語のほうからそっと寄り添ってくる感じ。思ったよりはずっと淡々と進む(比較の問題だけど)。
    表紙のイメージのつもりでいると確実に痛い目にあうと思う。というか、表紙ほどはポップではない。じゃぁどういうのならいいのかって言うと、このままでいいんだと思う。表紙も全部込みで「ジョソウダンシ!!」なのだと思う。
    で。読み終わったときに思ったのは、これは「楠本まき」と「魚喃キリコ」だと。どっちがどっちかは書かない。ネタバレっぽいし。すぐわかると思うけど。霜月さんも伊藤さんもがっちり自分の世界を固めて、その上でタッグを組んで、あの表紙を身にまとって初めて成立する本。なのだった。
    霜月さんの文体が好きなので、また読みたいと思った。伊藤さんのほうは何故もっと早く手にとらなかったんだろうと自分の食わず嫌いを悔いた。
  • 「飛ばない本の本」TOLTA
    ツイッターでも読了、って書いてからこれ、読了って言うの?って思った。イベントの図録を見たって言うほうが正しいような気がする。8/25から26にかけて行われたイベントの記録。
    最後に参加者の書かれたものが収録されている。僕は海埜さん、小川さん、北爪さんの作品が好きでした。
  • 「Inside Explorer 2012」
    月一くらいで開催される、InsideOutさんのワークショップから生まれた本。架空の中学の最後の卒業生の同窓会をテーマに座談会とか文集とかが載っている。……んだけど、かなり巧妙に作ってあるので、言わなきゃわかんないかもしんない。もちろん後半にネタばらしがあるからわかるとは思うんだけども。
    一回だけワークショップに参加したことがあるのだが、必然的に自分と向き合う必要があるので気軽に行くとひどい目に遭う(笑) でも、その分手応えというか創作に関する反応というかそういうものがダイレクトにあるのでおもしろいのですよ。
    で。誤字がかなりあったんだけど、あれは意図的なものなのかなぁと思った。いちおう同窓会記録っていうことになっているので、そこら辺も織り込み済みなのかなーと。でも、ちょっともったいないよなぁとも思ったり。もう一つ、笑っているところの表現で、いわゆる「草を生やし」ていたのだけれど、あれ、読みづらいですよ。「かっこ笑い」のほうが可読性が良いと思いました。
    内輪ウケに過ぎるのでは、と心配されているようだが、そんなことはない、ワークショップというものの不思議な力を見たような、そんな一冊。

今回はこの辺で。リストを見て、俺のはー?と思った方、すみません、のんびり読んで書きます。もうちょっとだけ、待ってて。