だらだらと続く坂を自転車に引きずられるように降りていく
退屈な毎日はまだしばらく続く
「テンション低いじゃん」
肩をはたいて追い越していく君は
いつも笑っているようで
バスを待つほんの一瞬 曇らせる顔を見たのは
きっと僕だけだと思う
(思い上がりなのはわかってる)
(僕を見つけてすぐいつもの顔に戻る)
(でもその笑顔はぎこちなかった)
普段はばらばら 一緒にいるとはだれも思わないだろう
呼ばれればそっちに行ってしまうし それは僕も君もそう
だけど本当は きっと本当は
僕は僕でいつも退屈そうに外ばかり見て
かなうはずのない夢と現実を一緒くたにして
なにかから逃げているような そうでないような
わざとつかみ所のないようなフリをして
君は君でいつも誰かがそばにいて
まるでそうすることが当たり前みたいに
疑問に思ったことはないのだろう
そう 知らない人はいうだろうけれど
無理したっていいことなんかないって
口には出さないだけで やり方が違うだけで
バスをいくつかやり過ごして
缶ジュースはんぶんこして
クラスのだれも知らない二人だけの話
絶対に教えてやるものか
「内緒なんていつかはばれるよ どちらかがいわなくても
どこかから 必ずばれるようにできてる」
飽きたころに君はバスに乗る
僕は自転車にまたがる
それぞれの方法で それぞれの場所に帰る
誰かの知っている自分が すべてではないのだと
そんなたいしたことのないどうでもいいことを
カバンのすみにしまって