僕は君が好きだったし、君は僕が好きだった。
二人の間にこんなにシンプルな事実があっても、ときどき会って近況を教えあっていても、それでもどうにもならなかった。
「実は両思いだったんだよね」と君。
「うまくいかないもんだよね」と僕。
笑っていいのか、よくないのか、こういう時は。
だけどわかっててなにも出来なかった二人は今日もいつもどおりあいまいな感じで微妙な距離のまま歩いて、いつものところでさよならをする。
「じゃぁ、またね」と僕。
「また今度ね」と君。
笑顔で手を振るけれども、君も、僕も、この次がないことも知っている。