空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

「星の彼方から」

地球から遠く離れたここで僕は一人になってしまった。
片道切符で来た四人いた仲間たちはみんな星になった。
いつ来るかわからない移民のために僕は一人で機械を直し、
コロニーをつくり、植物を植え、大地を走る。
川のないところに水を通し、日陰のないところに木を茂らせる。
君に会いたい。君に会いたい。
 
始めからわかっていたことだった。
二度と君に会えなくなることは
彼と一緒にいるところを見て僕はすべてを諦めることにした
いつかこの星が快適になって、笑顔で君を迎えられるくらいになったら
彼と君と、おそらくいるはずの君の家族を呼ぶつもりだった
僕はここでどうなるんだろう
このままここで死ぬんだろうか
君に会いたい。君に会いたい。会ってすぐに
 
僕は何度も空を見上げる
変化のない空
日があたれば暑いだけの
日がなければ寒いだけの
君と歩いた時にあった雪も
初めて二人並んだ雨も
もう、どんなだったか忘れてしまったよ
 
毎日決まった時間に地球に向けて報告をする
いつも返事はない。そんなの最初から期待してない。
ただいつか君に僕の言葉が伝わりますように
それだけを望んで今日あったこと、明日すること、将来の夢、
仲間がほしいこと、寂しいこと、ほんの少しのうそ
家族のこと、残してきた父さんや母さん
それからいまでもすきな君のことを書きつづって
地球に送るよ。
君に会いたい。君に会いたい。会って今すぐ君を抱きしめたい。
 
元気ですか。
君は幸せに暮らしていますか。
僕は今日も遠く離れた惑星でひとり、大地を切り開き、
コロニーをつくり、壊れた機械を直し、
いつでも君たちがここにこられるように準備しています。
君はここが見えますか。僕の姿が見えますか。
僕は毎日望遠鏡をのぞいて君の住む街を探しています。
君に会いたい。君に会いたいです。会って君が幸せに暮らしていることを
確かめたら、このまま星になってもいいです。
ミライエイゴウ 地球のそばで