このややこしい時節柄、出かけた報告もちょいと面倒なことにならなきゃいいなと思っているのだが、まあ、それはそれとして。
着物を着て二度ほど出かけた。
「つつんで、ひらいて」を見てきた。
その日は雨が降りそうな感じだった。映画館なので、寒いと嫌だなと思い、単衣で。麻混の襦袢に紺の長着と羽織。濃い灰の角帯を貝の口で。黒の足袋ソックスに草履。
鈍行で出かけたのだが、ちらちらこちらを見る人がちらほら。そらまあそうだ。なんで着物着たおっさんがここにいるんだ。祭りでもないのに。二度乗り換えて、映画館。雨が降ってきていて、靴で来ればよかったかなとか、そもそも着物やめりゃよかったなとか思ったけど、こんな時でもなければ着る機会ないんだよ。
ドトールでコーヒーを飲む。なんかいいじゃん。ドトールも映画館も冷房の効きも相まって、快適に過ごす。
映画は良かった。半プロの人にそれらしい話をすると「あれは工芸品であって云々」という話をされたので、以降この話はしていない。ただ、本の最初の価値を決めるのは帯も含めた装丁なんだなあ、と思った。
センスがないとできない仕事ではある。そりゃあ自分の作ったものをボロクソに言われるわけだ(前述の人から言われたわけではないけど)。
もしかしたら紙の本はレコードと同じようにコレクターズアイテムとしてしか用をなさなくなるかもしれない。それでもなくなりはしないだろう。そうであってほしい。
終わったあと、雨が降ってなければその辺をうろうろするつもりだったけど、ひどい降りかただったので断念、そのまま帰ることにした。
途中、昼をちゃんと食べてなかったので駅ビルで親子丼を食べる。着物で。なんかものすごく愉快な気分。
浴衣会に誘われた
二度ほどお邪魔した着物屋のご主人に誘われて、浴衣会。この日も雨。麻混の襦袢に麻混の長着。着流し。白っぽい灰の角帯を片ばさみで。かわいい足袋ソックスに雪駄。
ご主人以外は初対面の方ばかりだったのと、自分だけなにもない人間だったので、わりと話を聞く立場にいることにした。聞いた話ばかりしてもしかたない。
再生和紙(を漉く機械)の話、ジビエの話、着物そのものの話。知らない人から知らない話をされるのは面白い。
この日、抹茶とビールのカクテルを初めて飲む。一口目、ビールの苦さと酸味のあとに抹茶の香り。大人の味だ(当たり前だ)。
日本酒は原酒と、温燗。原酒のほうが大味ではあるけど、美味い(飲みやすいのは温燗だった)。ご飯も美味く、3000円コースにしちゃ豪勢だった。
予定時間を大幅に過ぎて散会。同席した人と電車が同じだったので駅まで。小走りになったけど、うん、ちょっと大変だった。普段歩くのが早い人と歩調を合わせたいなら相手に着物着せればいいぞ(笑)
その方とはなかなかきていく場面がない、という話に。あと、汚しやすいからそれが心配、とか。
また機会があったら参加したいなあ。
(この日は写真を撮りそびれてしまった)