空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

足袋を買う

足袋を買ったのはどちらかというとついでみたいなもので、本当の目的は木草履のメンテナンスに出すことだった。

どうも歩き方に難があるらしく、変な減り方をしているのと、足を乗せる表面の革がどうしてか削れたみたいになっているところがあったので、それをどうしたらいいのか相談に乗ってほしかったのだ。

一脇さんは京都の職人さんで、雑誌にも載るし、新美の巨人で本仮屋ユイカと話をしたこともあるらしい*1。前に透佳さんでお会いしたときに一足誂えて、あまりの楽さに主力としてあちこち行くときに履いて出かけている。

 

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もう二年近く前ですね。*2

同じ日に一緒に誂えた家人はわりとそんなに酷いことにはなっていないのだが、自分はどうも足許には無頓着らしく、結構酷いことになっているので、いい機会だから見てもらうことにしたのだった。

一脇さん、東京着物ショーの時にいらしていて、その時に「今度透佳さんにいくから」「じゃあそのときに持って行きます」みたいな話をしたので、正確に言うとお会いするのは三回目なんだけど、たぶんお忙しいから覚えてはいないだろう。

メンテナンスのことはわりとあっさり終わって、一脇さんがふだん愛用しているたっつけ袴のこと*3とか、草履を次に誂えるならどれがいいかとか、そういう話をしていた。

透佳さんは「添嶋さんは正統派だから」とおっしゃってくれたけれども、自分の中での正統派は関東にいらっしゃる方々なので、自分はどうも傍流だと思うのだ。お茶やってるわけでもないし、とりまわし……じゃない、なんだっけ、しぐさ……違う、所作だ、所作も粗野だし。

書生さんのカッコは楽だし好きだからよくする、というと「ああ、それだ」となぜか話がまとまり(笑)、書生スタイルの正統派、というそれはそれでなんだか方々から叱られそうな称号をいただいたのだった。

あと、東京着物ショーにいた人々は本当に正統派も正統派で、なんなら原理主義みたいなところがありそうだったし*4。曰く「もうひとつふたつある着物イベントはどちらかというと和装コスプレのようだ」と。

もう片方は行ったことがないけれども、写真を見る限りでは言わんとしていることはわからんでもない。だいぶアレンジしてる人もいるからね。

自分は(たぶん家人も)正統派を知っているから崩せると思っていて、最近はちゃんと着るほうが楽しいからそうしているけれども。でも中にシャツ着るの楽だし、タートルネックとか。たっつけ袴にするときは上はポロシャツでもいいとか、そういうアレンジも正調を知っているからできるんじゃないかなあと思うんだ。

でも、アレンジ、和洋折衷にしている人はそれはそれでいいと思うし、誰かがどうこういうような話じゃない*5。ミニ丈の浴衣とかかわいいしな。男子のガイアが俺を呼んでいる感じも好きだし(自分がやらないだけで)。

ひとり一派ということばも聞くけれど、それでいいんじゃないかなあ。口出ししなければ。見ている自分が恥ずかしい、は、実は自分がその場にそぐわないのかもしれないじゃないか。

お店には、相変わらずのたくさんの鼻緒と、台とあって、まあ迷う。ダダ星人みたいな鼻緒もあって(笑)、なので、通称はダダとミニダダだったんだけど、四角の幾何学模様がとてもおしゃれな感じのものもあった。

女性用のものが当然ながら多くて、それはちょっとずるいなあと思うんだけど、でも、こういうのは正統派で作るのも悪くないよなあ。今もっているのは深緑だけど、次買うのは浅い灰色がかった紫とか、焦げた茶色とか。シボの入った革なんて本当大人っぽくてよいと思う。それで、雪駄にしてもらうといいかもしれない。お金を貯めなくては。

他にも羽織紐やら足袋やらあって、羽織紐は表と裏で色が違っていてきっと上品に見えるんだろうなあと思った。足袋は自分サイズのは実はあんまり選択肢がなかったんだけど、一つはもう持っている柄で、もうひとつ、真っ黒なんだけど艶のある、一見すると革にも見える感じのがあったのでそれを買った。

真っ黒なのは別珍のは持ってるんだけど、冬しか履けないし、そうじゃないのがほしかったので、ちょうどよかった。これだって色味からすると随分正調であると思う。

そういうわけで次の用事があったので、お店をあとにすることにしたのだった。あー、どっかに100万くらい落ちてないかなー*6

*1:動画を見せてくれた

*2:透佳さんに上の記事を紹介してもらって本当にすみません、適当なことしか書いてないのに

*3:46200円で誂えることができるそうです。裾はベルクロとホックで絞ることができて、ちょっとニッカーボッカー風になる

*4:言ったかもしれないが、男子の格好のほうがよほど数奇者というか傾奇者というかそんな感じの人が多かったように思う

*5:逆にやる側も他人を煽る必要はまったくない

*6:こういうところが粗野たる所以