2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「絶対内緒だぜ」と連れてかれた取り壊し予定のアパートの階段に散乱するエロ本を見ながらだんだんギラギラした目つきになる君を見て、ああ、この人も普通の人だったんだ、とため息をつく自分に何とも言えない気分になる。もう少し自分もこんなふうだったら…
授業中、机の下から伸びてきた手が僕の手をそっと握ってきた。 初めてのことだったから戸惑ったけどほんの少しだけ握り返した。 冗談で片付けられてもいいと思った。
学校帰りの電車の中、僕の隣に座った君がいつの間にか眠ってしまっていた。 そこに僕が座っていたことに君は気づいていなさそうだった。 やっと君が隣に来たというのに、僕はひとことも話すことができないでいた。 心臓の音が君に聞こえてやしないだろうか。…
修学旅行の夜フェリーの狭い船室で水揚げされた魚のような状態で男子が寝ていた。うっかり出遅れてしまった僕は途方に暮れていた。 こっちこっち、と声が聞こえて、それは入り口の近くにいた君で、ただでさえ狭いスペースに僕の場所を無理やり空けてくれたの…