2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ひさびさに書いてこれかよ、という気がないでもないのだが。 12月5日に東京は蒲田、大田区産業プラザPiOにて行われる文学フリマに、作品持ってブース確保して参加します。 もしよかったら冷やかしにお越しくださいませ。もちろん手に取ってくださればなおう…
死神が迎えに来てから一週間、明日が期限だという。覚悟は決めたからいいがあんたと話してて俺、危ないヤツだと思われないかねというと、もともと危ないから大丈夫と返された。普段から独り言が多いとこういうとき怪しまれなくていいよね、ってそれはそれで…
今年も今日でプールは終わりだと言われた。もう君の水着姿でドキドキしなくてすむんだなぁ。「おい、見ろよ。こんなに焼けちまったよ」腰の辺りをめくって見せてきたのでお茶を噴きそうになった。やめろっ。俺を殺す気かっ。
寒いと思ったらリモコン片手に立つ君が。「エアコンの温度下げんな」毛布にくるまったら「鍵もかけずにパンツ1枚で寝てるヤツが悪い。襲えと言ってるようなもんだろ」といって乗っかってきた。今、かなり誤解されやすい状態だから、と思っていると猛烈にじゃ…
朝から洗面所を占領している弟。どーゆーこと? とぶーたれていると「デートだって」と母さん。えー、なにそれじゃ彼女出来たの? 浮かれるあたしに「違う、友達のデートのつきそい」と浮かない顔の弟。俺のほうが絶対いいってわからせてやるとか言って出かけ…
「あんたはデパートの屋上で拾ってきた」と母によく言われた。母は僕が泣いて否定するのを期待していたようだが、僕は「それならそれで仕方ないな」と思って「ふーん」で済ませていた。母は驚いていたようだが僕は夜な夜な布団の中で本当の家族が迎えに来る…
デートの度に小さな弟を連れてくるから本当は二人で会いたいんだけど、とさりげなく伝えてみた。弟くんは涙目で「僕一人でお留守番できる」というし彼は「夜間保育所探すよ」という。なんかあたし一人で悪者みたいじゃないか! そりゃ彼がふたり暮らしなのは…
家出してきた友達は結局俺の布団で寝てしまった。連絡しようかどうしようか迷ったけどそれもしてない。汗をかいた顔をタオルでぬぐうと「好き」と寝言を言った。好きならその人を困らせるんじゃないよ。俺の気持ちなんかちっともわかってないじゃないか。
パンくわえて遅刻遅刻とかマジありえないし、と思っていると通りの向こうで本当にぶつかって、教室ではそれで半分ケンカになっている男子女子。「これ、返す」ハンカチ差し出し顔真っ赤の男子。困ってたから貸したのにそれで好きになられても。少なくとも僕…
卒業アルバムの写真を撮っているときに、君のことを見ながら「もう会うこともないんだろうな」と思った。「同窓会かったるい」「ま、どうせ誰も呼ばないだろうけど」それが本当だとしても君の口からその言葉は聞きたくなかった。これがあいつからなら納得し…
お前わがまますぎ、といいながら弾く彼のピアノが僕は好きだ。こういうのと言うとさらさらと音が流れていった。「今日弾いたのはなんて曲?」「別れの曲」じゃあ、もうこれで最後にする。引っ越すから、と言うと君は少し驚いていた。「やっぱりお前わがまま…
生まれ育った場所を離れ、両親もいなくなってしまった今、そこに戻る理由なんかない。どうにか生きているこの町で君に出会い、君を守って生きていくことにした。思い出なんか今から作ればいい。僕を知る人はもうここにしかいないのだから。
学校が終わると制服のまま街まで行って裏道にある喫茶店に入るのが好きだった。たいてい一人だったので参考書だの文庫本だのを見ながら少しの時間を過ごした。あるとき試験後に久しぶりにそこに行った。「試験、どうだった」「まぁまぁかな」それがマスター…
君と別れた日、一人になった瞬間にケータイのメールを全て消した。どうでもよくなったのだ。次の日、君に会ったが(仕事で)なんの感情も持たずにこなした。薄情だと言われたがもう君とは関係ないのだよ。
いつも輪の中に入れずに眺めているだけだった。いい年になった今もあまり変わらない。入ったところで場をひっかきまわすだけだとわかっているからだ。今日もイベントの準備を手伝いつつ、引き際を探っている。
科学実験で喜ぶ君を見て、本当にここでよかったのかと思った。どこへ行きたいか聞いて即答だったからいいのだけど、友達は芸がないと言うし。もうすぐプラネタリウムの上映だよと手を引かれた。だって記念日だし。ああ、そうか。君とここで出会って今日でち…
ここ、基本的に(文学フリマ関連をのぞいて)フィクションです。 そこんとこ、勘違いしないように(笑)。ある意味作業スペースなんで。
過去を振り返るとたいていその時の自分は下を向いて声を殺して泣いていたりする。何をそんなに泣くようなことがあるんだ、と聞いてみたい気もするが別に大した理由なんかないことはわかっているので聞くだけムダなわけで。 人前では「ここで泣いておけば解放…
永遠に夏休みのままでいるにはどうすればいいか、ほんの少し考えてた。誰かが迎えに来たのでついて行こうとしたら意識はこの世にはなかった。ちょうどよかった。どうせ必要とされてないのだから、これでよかったのだ。
駅前のうるさい中で一人で歌ってみた。本当はこんなこと絶対に出来ないような性格だけどどうせ誰も聴いていないだろうと思うと不思議と緊張もしなかった。慣れないギターを鳴らしながらようやく一曲歌い終わった頃、君が缶ジュースを投げてきた。急に緊張し…
いくらひとりぼっちだからって会話を頭の中だけで済ませて満足するようじゃダメだと思った。誰かと話そうにも相手がいない。ネットは怖い。誰かいませんか、とつぶやいたら「ここにいるよ」とリプライがついた。窓の外から声もする。見ると、ケータイを持っ…
いきなり僕の背中に冷たいものが突っ込まれたので大声を出してしまった。呼んだのに気づかないから、とアイスを持って少し怒っていた。「ごめん」アイスを受け取るとそのまま君の顔を見つめていた。なんで一緒にいられるんだろう、と思うと不思議で、申し訳…
下足箱の中に手紙があって、えらく古風だなと思った。ほんの一瞬だけうれしくなったがよく考えてみたらそんないいものなんか入っているわけなどなかった。意を決して開けてみた。「いつも僕が君のそばにいるよ」これは君の字だ。たとえ嘘だとしてもそれでも…
ちょっとリアルだな、と思ったけど紐を梁にくくりつける夢を見ている。いい加減目を覚まさないとなぁと思ったけど体が重い。首を通して台を蹴った瞬間、目覚まし。今日もダメだった。
君に好きな人がいたなんて聞いてない。そう思ったけど、別にそれは普通のこと。全部話せばいいってもんでもない。わかっていても理解できない。君なんか大嫌い。……になれたらいいのに。そう思う自分が一番嫌い。
暑くて机に溶けたように突っ伏していた。「これ」とペットボトルを手渡して顔を赤くしている後輩。BL体質も大概にしなさいよね、と彼女が頭をはたこうとして気がついた。「熱あるじゃん!」
僕にキスをしようとするヤツ(体育会系男子)がいる。あんまりしょっちゅうだったので「ムリ、ありえない」と言ったら三日ほど教室の隅でうずくまってた。男ゴコロはよくわからんとため息をついたら「お前には言われたくない」と返された。なんだそれ。
密かに密かに好きだったあいつの横でうっかり「好き」って言ったらおでこをこづかれた。それだけでいいと思った。
死ぬつもりで屋上に来て建物の縁にいる。やめて、と止めに誰かが来るなんてあれはお伽話で下手すりゃ誰も気づかないはず。突然思い出して涙するような人がいてくれたらよかったと初めて思った。馬鹿な自分。死ねばいいのに。じゃ死ぬか。
僕の好きな君の後ろを歩くのが好きで、今日の君は誰かと一緒に。邪魔はしない。迷惑はかけない。あくまでもそっと見ているだけ。だけど僕のことをキモい、と笑うのを聞いて僕は動けなくなった。そもそも僕は存在しちゃいけないのか。