空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

「なめたらわかる」を読んだ

これは文学フリマの終わりがけに、ほぼ中身を読まずに買ったもの。伊藤佑弥さんの著。
前回、サークル名だけでなんか引っかかってて、買おう買おうと思ってたのに気がついたときには一人だったものだから買えず、今回に持ち越しみたいな感じで。
ぱらぱらと見たら、あ、これはちゃんと読もう、ちゃんと読まないとダメだ、と思って、親子読書にかこつけて読む。親子読書で童貞チョコレート。なんの呪文ですか。みたいな。
最初、もっとラノベっぽいのかと思っていたら実はもっとちゃんと文学だった。普段、感情移入する場所がある小説のほうが取っつきやすいのだけれど、これはちょっと違って、なんてんだろう、プロモーションビデオかなにかを見ているような感覚で楽しんだ。一歩引いたところで話が進むのを見ているような感じ。神視点? ちがうな。行定監督とかこういう映像得意そう。わかんないけど。あと、市川準監督もきっと得意だと思います。
きょうのできごと」という小説が好きだ。あれ、もりあがりも事件もほぼ何もないけれど、淡々と進んでいるようでそうじゃない話。書こうと思うと絶対に書けない、ふしぎな話なのだが、あれににてると思った。日常の話かと思ったら、UFOは出てくるし、殺人犯は出てくるし、球体になるしスイカはしゃべるしでも恋愛してるし。
疾走感というのとはちょっと違う、ドライブ感。そういうのが感じられた。これってすごいことですよ。
あと「ニチニチ」っていうケイタイのキーをクリックする音が面白いと思った。あの何とも言えない粘着感というか、なんというか。わかるわかるよ君の気持ち。
で、えっと、CDもついていて、それはそれで単体で聞いたのだけれど、聞きながら本を読んだら映像ドライブ感が増したのかなぁ。
読み終わったあとの、で、続きはないの? 感が半端ない。なんなんだろうなぁ。最後に向かっていくにつれて見え隠れする、これでおしまい、っていう感じ。物語が、っていうんじゃなくて、世界が。うん、そんな感じがした。でも、次待ってます。