空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

別れの情景

なんか今日はずっと一緒にいるのにひとことも話さないで
いつものコースでレコード屋と本屋とゲームセンターと
最近できたコーヒーショップで二人並んで
渋滞の車を観察しながら
座ってずっと熱いラテ手に持ったまま
店員さんが不思議そうに試飲のコーヒー持ってきて
大丈夫ですか、って
なにが大丈夫じゃなく見えたのか
聞きたいのはたぶんこっちのほうなんだけど
二人して店員さんのほうを向いて
大丈夫です/なんもないですよ って
声をそろえたからなんだか店の中が妙に和んで
きっとそれで知らない人はみんな大丈夫だと思ったんだろう
僕たちにかかる圧力みたいなものがふと緩むのがわかる
 
なんか今日はずっと一緒にいるのにばらばらに行動してるみたいに
きっと考えてることも別々で
ああ、きっとこのままいったら二度と会わなくなるなって思ってるからか
いつもだったらなにげなく出てくるこの次の予定の話もなしで
じゃあねっていう最後の瞬間がこないようにそっと息を止めて
二人の視線はきっと同じほうをむいてなくて
渋滞の車の列が今はどうなっているか
さっきの店員さんがどんなカッコしてたかどうかも覚えてなくて
うん、ホントは一緒にいるのが辛いんだ、って
そういわれるんじゃないかって他の誰よりもおそれている
(ここにいるほかのひとはみんなたにんだから
ぼくたちのことなんかほんとうはどうでもよくて
じぶんにみょうなプレッシャーがかかることだけをいやがっている)