空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

「きみのようにはなれない」(第11回短編小説の集い 参加作)

はじめに

短編小説の集い「のべらっくす」さんの企画第11回。添嶋は7回目。

テーマは「祭り」。これをご覧の貴兄は祭りは好きだろうか。僕は好きだ。屋台も祭りそのものも、祭りに出かけてきているちょっと浮き足立った人を見るのも好きだ。同級生が浴衣を着ているのを見かけて、ちょっといつもと違う気持ちになるのも好きだ。

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というわけで、続きを読むからどうぞ。3000字弱くらい。

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夏が終わる

夏の終わりの海風は汗をかいた肌にまとわりついて、さわるとぺたりと音がしそうなほどだ。
寄り添うと暑いから、ほんのすこしだけ間を空けてコンクリートの堤防に二人で座っている。
試合に負けて引退した坊主頭も少し伸びて初めて見る人みたいにみえる。
さっきから会話がないのは、たぶん互いを意識しているせいかもしれない。
君にここでキスをしたらどんな顔をするだろう。
だけどたぶん君はそういうのは嫌がるだろうから、ときどきふれる互いの指先の感触をそのかわりにするしかないのだ。

「逆向き列車」(第10回短編小説の集い 参加作)

はじめに

短編小説の集い「のべらっくす」さんの企画第10回。添嶋は6回目ですか。

テーマは旅だそうです。そういえば中学の時の作文の宿題のテーマも旅でした。んで、全然旅じゃない、やたら読点の多い作文を出したらその年の学校文集に載ったという、なんだかよくわからない思い出があります。

どうでもいいですね。

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今回は1500文字くらい。ちょっと短めです(すみません)。旅に出るまでの話です。というか、テレ東の番組にありそうなやつ、ですかね。

それでは、続きを読むからどうぞ。

 

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ゲームセンターの占いの機械に
二人の誕生日を入れて質問に答える
「あなたたちの関係は?」
友達と恋人の選択肢で手が止まる僕
迷わず恋人のボタンを押す君
今だけね、の声は聞こえないふりをした
 
いつも良くない結果しか出なくて
しかたないよねと笑う
君も僕も こうすることが
いつか終わることも知っているから
 
人のいないときだけ
「恋人つなぎ」で歩いて
僕のこと そう思っていてくれるの?
って聞いても いつも笑ってごまかすんだ
 
帰るところを確保して
ダッシュで会いに来るのは
本当は もう やめにしてほしい
絡めた指を離す間際 泣きそうになる
その瞬間なんか君は知らないだろう
追いつかないってわかってて
追いかけるのは嫌なんだ

名前、名前、名前。

今使っている名前は20か21くらいの時にふと思いたってつけたものだ。自分の本当の名前があまり好きではなくて、つねづね違う名前だったらなあと思っていたのだ。大学生の時、ミニFM局みたいなことをやっていたときにDJネームみたいなのが必要になって、とりあえずつけた名前があった。しばらくそれでやってたんだけど、とりあえずはやっぱりとりあえずでしかなくて、どうしたもんかなあと思っていたときに今の名前を思いついた。以降20年以上この名前で小説家ごっこを続けている。

名前の由来はないと思っていたのだけれど、大学の時に住んでいた街の中に、そういう地名があったということを、最近になって知った。

なにかひとの名前を考えるときはほとんどの場合、そのへんにあった本とか新聞とか電話帳とか名簿とかを見て、それを原形をとどめない程度に改変して作るので、たぶんこの名前もどっかで見たのをぐしゃぐしゃしたんだと思う。なので、ほぼ思いつきといっていいと思う。説明するのもめんどくさいしね。

登場人物の名前を決めるのも苦手だ。知っているひととおなじにすると、あて書きっぽくなってしまって気持ちが悪い。さりとてあまり適当だと感情移入できなくて困る。だからいつも最後まで困ってしまうのだった。最近は名前を極力出さない書き方を覚えてしまったせいか、ただでさえ一人称もはっきりしないで書いているのに、これでどうやって区別つけんだよ、みたいなことになっている。ような気がする。

話を作るって、すべてに意味がないといけない。だから、名前も考えすぎちゃうのかもしれないなあ。もっと気楽に考えればいいのか。

天気予報 (第9回短編小説の集い 参加作)

はじめに

短編小説の集い「のべらっくす」さん企画。添嶋が参加して5回目。通算9回目だそうです。

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今回のテーマは雨だそうです。去年(あれ、一昨年?)、雨をテーマに掌編集を作って、文学フリマで頒布しましたが、雨はいろいろ喚起させてくれる、良いテーマですね。今回は、えーと、雨を降らせる人、の話し(たぶん)。3700字強かな。

では、続きを読む、からどうぞ。

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たとえば僕が死んだら

デジタル遺品の話。

先日、NHKの番組を見ていて、デジタル遺品の話題だったのだが、要するにパソコンとかデジカメとかオンライン上に残っている痕跡をどうするかっていう話なんだけど、自分の場合はどうするんだろうと思ったのだった。

自分の場合は、パソコンと、いくつかのプロバイダ、ウエブサービスがあるからそれに該当するのかな、レンタルサーバなんかはそのつど払ってるから、入金が止まればすぐ消滅してしまうだろうと思う。パソコンなんかは見なくていいから全廃棄してくださいっていう話になるんだろう。

(関係ないけど、本もCDのほしいのがあれば残していいけど、基本的には全部廃棄でいいと思ってる)

テレビでは自分の書いたものとか写真とか全部引き継いでほしい、みたいなおじさんが出ていたけれども、これって、残された側からしたら「骨董とか鉄道模型とかそういうが残っちゃって、死んだ持ち主は好きだったけど、自分らは別に、価値なんかあってもなくても関係ないし、っていうか早く捨てたいんだけど」みたいなものだよなあと思ったのだった。

いろいろ探してたら肌色率高いのが出てきたとか、oh! yeah!な動画が出てきたとかそれもまたびっくりであるけど、おっさんポエムとか出てきてもあれだぜ、っていう話ですよ。そんなもん価値があるとも思えない。

それで自分のことを思う。好きで買った本とか、CDとかビデオとか、まあ、好きな人がいたら勝手に持ってってもらっていいんだけど、たぶん文フリで買ったもんとか、そういうのって誰もほしいとは思わんのよね。僕は大事にするけど、それが家族にとって大事なものであるとは限らないんですよ。

デジカメ写真とかも。家族と撮ったものとか、家族を撮ったものとかはいちどプリントしてアルバム作っちゃえば、後は別に風景写真とか鉄道とか、(自分の趣味に照らし合わせると)本の素材にしようと思って撮ったのとか、いるか? いらないだろ、ってなる。だったら文章なんかなおさらだ。あんなもん誰も要らないだろ。

テレビのおじさんは処分しようと思って結局どれも処分できなくて途方にくれてたけれど、最善の方法としては「見返さなくていいから全部捨てて」しかないんじゃないか、と思った。

(また話はずれるんだけど、それよりも先に通帳とカードと引き落としだけは何とかしてもらわないとね。そのほうが大事だよ。プロバイダとかの有料会員もか。これだけ何とかかなれば、後はほったらかしでもいいくらい)