空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

on twitter

(無題)

居酒屋でバイトをしている。休憩中に中学の時の同級生に会ったので「久しぶり、今日はどうした」と聞くと同窓会をやっているという。今。まさにこの場所で。えーっと思わず声に出すと「えーって……ていうかお前誰だっけ」と困った顔をされた。

(無題)

誰もいない放課後、君の席に座ってそのまま机に突っ伏してみた。 無雑作に置かれた制服から君の匂いがした。 こんなことばっかりしてるから嫌われるんだよなぁと口に出すと涙が出そうになった。 こんなこともうやめにしよう。みじめになるだけだ。

(無題)

教室にいてもしょうがないので少し寒かったけれど非常階段のところに隠れるようにして座ってた。 こうでもしないとどうにかなってしまいそうな自分が嫌だった。 小説ならここで誰かが心配してきてくれるのだろうけどそんなこともなく。 だけどせめて君の声く…

(無題)

出ないってわかってるのに君の家へ電話した。 ケータイのほうが手っ取り早いのも知ってる。 でも僕がかけてるってわかったらきっと君はそのケータイを捨ててしまうんじゃないか。 だから効率悪いなぁ、と思いながら普通に電話するのだ。

(無題)

僕は今まで隠していたことを彼だけに話した。 そうして嫌われてしまえば二度と会わなくなっても後悔することはないだろうと思っていたのだ。 「なんだ、そんなことか。別にたいしたことないじゃん」 大きな手が僕の頭をなでた。 涙が出た。

(無題)

卒業式の日、今まで殺伐としていた教室の中が初めて和やかな雰囲気になっていて僕はほっとした。だけど、それが「もう二度とボクに会わずにすむから」という理由だと聞いてあの子が一人ずっと泣いている理由がわかった気がした。あの子だけ僕と同じ学校に通…

(無題)

2/14に呼ばれたので寒かったけれど相手が来るのをずっと待ってた。誰も来なかった。風邪を引くかと思ったけれど案外大丈夫だった。あとからそれがバレンタインデーということを知った。3/14にはお返しをしないとダメらしい。またただずっと待ってなきゃいけ…

(無題)

僕にはみんなが見えているのに皆には僕が見えなくなった。 ジュースを飲んで戻るようならとうにしてるのだが、現実はうまくいかない。 今、君が怪我をしそうだったので思い切って助けてすべての手配がすんだところ。 これも僕がやったとは誰も思わないだろう…

(無題)

廃品回収の人が来た。 僕を回収していくのだという。 不用人は処分されるのだという。 困ったな、やりかけの仕事は誰がやってくれるのだろう。 それともこれは必要のないものなのだろうか。

(無題)

君が目の前にいるときに限って顔を真っ赤にしてテンパっているから絶対に僕が君をどう思っているかバレているはずだ。 君が僕の前では絶対に僕を嫌いだって言わないのは君のたった一つの優しさなんだろう。 僕は君が好きだというかわりに毎日ごめんなさいと…

(無題)

たまには同窓会も悪くないですねという話になったが、目の前で盛り上がる同窓会に呼ばれてもいないのに参加するわけにもいかず、さてどうしたもんかと思う。「注文お願いしまーす」と声がかかったときだけ、僕も参加者になれるのだろうか。

(無題)

誰も見ていないのを確認してから君は手をつないでくれた。 こんなところ見つかったら変態扱いされるからなって真顔でいうから本当はいやなんだと思う。 ゆっくり10数えたら満足したような気がしてそれほど力のはいっていない君の手を離してさよならした。 も…

(無題)

いつでも電話して、といわれたのを真に受けて電話してみたら、心底迷惑そうな声で返された。 だいたい予想の範囲内だったので間違えたことにして切った。 社交辞令を本気にするほうが悪いのだが、夢にしたって一瞬過ぎるよな、と思った。

(無題)

「絶対内緒だぜ」と連れてかれた取り壊し予定のアパートの階段に散乱するエロ本を見ながらだんだんギラギラした目つきになる君を見て、ああ、この人も普通の人だったんだ、とため息をつく自分に何とも言えない気分になる。もう少し自分もこんなふうだったら…

(無題)

授業中、机の下から伸びてきた手が僕の手をそっと握ってきた。 初めてのことだったから戸惑ったけどほんの少しだけ握り返した。 冗談で片付けられてもいいと思った。

(無題)

学校帰りの電車の中、僕の隣に座った君がいつの間にか眠ってしまっていた。 そこに僕が座っていたことに君は気づいていなさそうだった。 やっと君が隣に来たというのに、僕はひとことも話すことができないでいた。 心臓の音が君に聞こえてやしないだろうか。…

(無題)

修学旅行の夜フェリーの狭い船室で水揚げされた魚のような状態で男子が寝ていた。うっかり出遅れてしまった僕は途方に暮れていた。 こっちこっち、と声が聞こえて、それは入り口の近くにいた君で、ただでさえ狭いスペースに僕の場所を無理やり空けてくれたの…