空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

【ふじのみや西町ブックストリート】ありがとうございました

一般道で行こうかと思っていたけれど、思いの外出るのが遅くなってしまったので、8割くらいは東名自動車道を使って行った。もうナビはいらないくらいには慣れた道だ。

9時までにお入りください、と要項にはあって、ついたのは8:57くらい。ギリギリセーフ。荷物を下ろす。テントも持ってきたけれど、雨降るわけでもないのでこれは設営せずに終わった。

ふじのみやの古本市は子連れの方が多く、今回も絵本的なものを少し多めに持ってきた。自作の本もあるにはあるけど、ぶっちゃけていうとあまり売る気はない。あくまでもメインは古本のつもり。

周りを見ると、古本……の他に自分で作った袋物だのマスコットだの、中には漬物やら置物置いてる人もいて……こうやって場が作られていくんだなあと思って見ていた。

10時に開会、すぐ近くで駅伝大会はやっているけど、関連性があるかというと、まあ、ないわな。なので、出店者さんたちと話ができたらいいかなと思っていた。

が、前回あたりから人が増えてきたようで、今回も出店者以外の方がだいぶいらっしゃるようだった。古本、古物の基本は開幕ダッシュらしいので、そういうのを狙ってきたのかしら、とも思う。

途中、お汁粉が配られる。売り物のようだけど、出店者には配られるようだ。温かくて美味しい。

互いに互いのところを見に行ったり、持ってきたものの説明をしたり。途中、一瞬だけ雨がパラパラしてきて焦ったけれど、一瞬で終わったので良かった。

今回はお向かいの出店者さんの漬物とエプロン(古本市なのに……)、TANZAN BOOKSさんのところにある遠州木綿のがま口(古本市……)を買った。本はちょっと今回は増やせなかった(いやほんとすみません)。

お財布を別にしているので、手持ちが少なすぎるのが敗因。今度はちゃんと予算立てて行こう。

終了後は「 じねん坊」さんという鉄板焼きのお店で富士宮焼きそばを食べながら歓談。楽しかった。なかなかゆっくり話す機会もないもんなー。

あまりに美味しかったので、お土産用の富士宮焼きそばセットを買ってきてしまった。なんかホルモン焼きも美味しいという情報があったのだけど、お腹いっぱいで入らなかったのでまたいつか。

話は戻るが、会の途中、高校生くらいの女子二人がうちの場所の前でずっと本を作りたい、ネタはあるんだ、などと熱く話していた。

イベント主催者でもあるおじさんとしては「いつか本を作ったら、出店してね、それまでイベントがんばって続けるから」としか言えなかったのだが、将来有望だなあ、と思った。

ラジオドラマの脚本とか書いてるらしく、見せてもらえたのだけど、声に出して言うための条件は揃ってそう。*1

そして、本を買っていただいた。ありがとう。学割効くよと言ったけれど「いや、こういうのにはちゃんと出すことにしてるので」と言われてしまった。偉いなあ。

というわけで、なんだかとてもいいイベントでした。次もあれば参加したい。

絵本的な何かと、詩集……? 詩歌を次は充実させてみますか。こうやってどんどん古本屋みたいになっていくんだろう*2

というわけで、またどこかで。

ちなみに今回はこういういでたちでした。

本のイベントなので、書生スタイル、トンビ付き。がっつり着込んで行ったので、思いの外寒くはなかった。

*1:とはいえ、自分もうっかりしてたのだけど、見知らぬおじさんにうっかり見せてなどと言われてもあんまり簡単に応じちゃダメよ、とも思った。あの場だからまだ良かったけど、ろくでもない大人はどこにでもいるからね

*2:自分が読みたいものを買い揃えていくスタイルなので、本棚が詰まっていくけど、不良在庫にはならない……と思う

【出店のお知らせ】ふじのみや西町ブックストリートに出店します

第4回 ふじのみや西町ブックストリート

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……に出店します。自分は3回目の出店。毎回、商店街のイベントに合わせて開催しているようで、前回、前々回はすごく賑やかな感じでした。

そして今回は駅伝!(笑)

近隣の商店街もまたなにかあるのかなー。焼きそば食べるのが楽しみなんですよね。

それにしても1年で4回ってのはなかなかのハイペース。認知度上げるにはいいことだと思う。

今回は(今回も?)自作本やら家の本棚から抜いてきたのやらでお送りします。とはいえさすがにそろそろネタ切れになってきた感あるな……。CDとかも持っていくか……?

当日の天気、雨は降らないようですが、なんか寒そうなことが予報で出てきてるので温かい格好でいらしてくださいね。自分もたくさん着込んで行きます。

お待ちしてます!

 

「翻訳者、豊﨑由美と読んで書く」を読んだ

翻訳者たちが、海外の本を読んで書評を書く。その書評の講評会の記録、のような物。講師は書評家の豊﨑由美。

豊﨑さんはSNSで活動する若い書評家というか本のインフルエンサーに噛みついたりするけど、基本的には書評家としては信頼できる人だと思う。

講評の対象となる書評がまずあって、それに対する講評、という流れで読み進めることになる。書評王という優れた書評が後ろに二つ載っているが、どれにしてもどこかしら修正点があって、そこを直せばより良くなるということなのだけども。書評を書き慣れない自分にはどれも良く見える。ただ、読み進めていくとやはり、わかりにくい部分があるもの、これ読んじゃったら紹介されてる本は読まなくてもいいかなと思うものがあって、この本を読み進めることで自分の書評に対する目が養われる。

途中、同じ本に対する二つの書評が続いていて、前者は当たりの柔らかい文体、後者はかっちりした文体、想定している媒体が異なるので違って当たり前なのだが、どちらを読んでよりその本を読んでみたくなるだろうか、ということを考えたりもした。

見本がないと動けないタイプの自分には、こういうふうにすると出来はともかく書ける、ということがわかったのでそれは収穫だと思う。あらすじ書くのが超絶下手くそというのが自分にとっての最大の課題だろうなあ。

喋りすぎても、喋らなさすぎてもダメというのは書評に限ったことではないが、匂わせ、寸止めのようなテクニックや、情報の取捨選択……どうせ全部は入れられないのだから、要となるところを見極めてそこを推していく事が大切なのだろう。

これは海外文学に限ったことではなくて、たぶん汎用性の高いものだと思われるので、書評を書いてみようと思う人は一度でも読んでみるといい。

次号は企画立案中らしく、どんなふうなことをされるのか楽しみ。

「顔たち、犬たち」を読んだ

オカワダアキナさんの「顔たち、犬たち」を読んだ。

よく聞けこれはおまえの話。おれの話。どっちでもいい。
ずるい男のずるい話。男性性の呪いについて。

(通販ページの紹介より/ 顔たち、犬たち | ザネリ

妻がいるが男とセックスする男。ゲイともFTMともする。紹介にもあるが、なんせずるい。そのズルさは「お前ばっかいい目にあいやがって」というズルさではなくて、問題をずっと先送りにしてなんの解決もしたくない状態をずるずる続けているようなずるさ。

最初、語源通りの意味でqueerでズルくてほんっと男って存在させたらあかんな、と思いつつ読んでいた。まあでも初っ端の印象は読んでいくとだいたいひっくり返されるから読み進める。家庭からも何からも逃げようとして(たぶん優柔不断とか心的弱さゆえに)逃げられなかった父を見ていて、その父からの父性的愛情の欠落が優人(結婚してる男の名前)の立ち位置の不安定さを招いてる。

で、その立ち位置の不安定さ故にゲイであるムムくんやら、なりゆきでFTMである今くんとセックスするようになる。他の行きずりの男ともしちゃうのは自分が定まってないから(SOGI的にも心的にも)、その定まってない自分のことがわからないから流されかかってるからなのだろう。それか、自分から流れちゃってる。

ものすごくめんどくさいタイプの男だ。

たぶん、素直でかわいいところのあるムムくんや、ちょっと冷めたところのある今くんがうらやましいのだろう。ムムくんはともかく、今くんのその冷めたところはおそらく鎧のようなもので、それがあってようやく今くんが今くんであるのだろう。

優人がそこまで見てるかはわからん。彼らをうらやましいと思っていることを本人が認識してるかどうかもわからん。わかんないならわかんないで立ち止まればいいのに、動くから迷子になるんだ。

この小説、全編をとおして二人称で語られる。二人称だけど、語り手は優人で、だからこれは心理学で言うところの「超自我」と言うやつなのだと思う。俯瞰してるからこその優人のめんどくささが際立つというか。自分もああだったらもうちょっと楽に生きられたかもしれないのにね。

ぶっちゃけていうとなんの解決もしない。むしろ受け入れちゃってるからこの先もこのままなんだろう、という気はする。永遠には続かないだろうけど。

どこかでバランスをとらないと正常を保てないのなら、それは正常ではないのだけど、本人がそれでいいならいいんじゃないの、という気がしなくもない。ずっとなにかから逃げ続けていくか、そのうちあるかもしれない何かとの決着がつくまでは。

たぶんに誤読しやすい性分ゆえ、オカワダさんには「そうじゃないんだよなあ」と言われるかもしれないが。

男の人はこういうの読むの苦手と思うかもしれないけど、ぜひ一読をお勧めする。たぶん、自分の立ち位置のことを考えると思うよ。

つくることとそれを届ける方法

なんか三日連続出かけてるな……。

浜松ハンドメイドマルシェに行ってきた。浜松では初開催。

 

横浜のには行ったことがあって、そのときは「文化祭みたいだなー」と思って帰ってきたのだった。それを生業としている人ももちろんいるけど、そうでない、趣味の延長というか、どのご家庭にもいらっしゃる同人作家さん、みたいな感じの人が多いと思った。

ホールひとつ分とは言っても、ビックサイトみたいに広すぎるわけではなく、どっちかというと蒲田のPiOみたいな感じ。端から端まで回ってぜんぶ見るのも苦にはならない。

編みぐるみとか、毛糸が髪の毛になっているようなカントリー人形みたいなのとか「お母さんそれ一個作るのにどれくらいかかります?」みたいなのがちらほらあって、見てるだけでも楽しい。

ダラダラ見て回って2時間くらい、薄い長財布を買って帰ることにした。

壁用のクロスを使って作ってあるそうだが、おしゃれな柄じゃないですか。コレが遠くから「お前こういうの好きじゃろ」と呼んでいたので、購入した。これなら和装した時の懐に入れられそうじゃないですか。

Twitter(現X)でもなんかいいねを思ったよりいただいたので、やっぱりこれかっこいいよね、って思った。

またあるらしいので(今度は四月?)、また来よう。

つくることとそのつくりかた

2/3は夕方からヒガクレ荘で「よるの本屋で立ち話」に参加してきた。自分は棚主としては一年ブランク空けて、ふたたび借りることにした、という感じ。*1

店内10人くらいいたかな? もうちょっといた? 棚主さんだけでなく、お客さまなどもいらした。

お前ひとりでようしゃべっとったやろ、と思われる節もあろうが、こういうときに誰とどんな話をしていいのかわからないというのがある……。なんとなく近くにいた人と、なんとなくな話から、鬱の本の話、自分の本のこと*2、どうやって作ったらいいかみたいな話まで。あとはそれぞれがよく行く本屋さんの話とか。……いや、お前ほんと一人でようしゃべっとったやろ……大丈夫なんか……。

で、本の作り方の話はやっぱちょっと盛り上がって、〆切……とか、制作費……とか、そもそも何で作るん?というところまで話しが広がった。

そしたら、話の流れでまた要らんこと言わんでもいいのになんやら言い出した男(≡自分)いたんですよ。

なーにー⁉︎ やっちまったな!

という感じでひとつなんか始めることになった。面白いのは「えっ?しめきり?なに?(ガタガタっ)」てなった人がその場に何人もいたこと。みんな〆切ができないと動かない(動けない)のね(笑)

これらはクローズド企画ですが、形になりそうだったら告知出します。その前に文学フリマの場所取れてほしい……。

 

*1:前は静岡文学マルシェ名義で借りていた

*2:でも「自分で作りました!」って言っちゃっていいのかはまだわからない

つくることとなおすこと(あるいはこわすこと)

2/2、ヒトヤ堂であった、青木真兵さんと光嶋裕介さんのトークショーを聞いてきた。トークショーのタイトルは「つくることとなおすこと」だが、そこに時々戻りつつも内容はわりと多岐に渡った感じ。

とても全部覚えきれないので、脳内解釈込みで覚えている範囲で。たぶんとてもわかりにくい文書なので許してほしい。

光嶋さんは建築家。

青木さんは思想家……というか、元々西洋史を学んでいて、東吉野に移住して自宅を私設図書館として開いている、という方。

会場となったヒトヤ堂自体がリノベ物件なので、そこから話が広がって、日本は全部壊してリセットして新しいものを作る、ヨーロッパは元々あるものを直しつつ更新していく、それが本来のスクラップアンドビルドではないかという話。

建築家は指揮は取るが自分で何かをするわけではないという話とか、そこに至るまでの空白期間が長すぎて人が当然通っているであろう期間を通っていない。だから常に「not enough(充分ではない)」手に取れる情報は手に取りたい、という話。

対して情報やら何やらが常に「過剰である」という状態もつらい、という話。

あるいはいかに不便であっても(災害時に危険区域になる恐れがあると言われていても)、愛着がある人たちを引き剥がせるか、という話。その危険性も込みで生きていく必要がある……。*1

「永遠に続いていく、とはいえ、いつか建物自体の寿命がくるのではないか、ゼロになる日がくるのではないかのいうぼんやりとした不安」というオーガナイザーのこじまさんの声に「それは終わりはない、直していくということで続いていくし、もしかしたら別の場所に移ることがあってもスピリットは残る」という答え、なくなるかもしれないという考えを内包したまま生きていくという捉え方、あるいは次にそれを渡していくという考え方……。

そのあと、サイン会で本にサインをしてもらいながら光嶋さんにnot enough の話をちょっとだけする*2。あと、マグルの話も。受け止め方で変わるんですよね、みたいな話をした。

そのあと、移転したペーパームーンというカフェでやっているレコード市を見てきた。ここも、移転したけどスピリットは移転前からちゃんと残っていて、さっき聞いた話につながっているなと思った。

 

 

 

*1:この辺実は記憶が曖昧で、能登地震とかを頭に置くと、そのへんはどうなんだろうなあとかいろいろ考えていた

*2:我が家の家族構成を説明すると、どうしても僕の中に「not enoughたる期間」ができてしまうという話