空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」を見た

東京都現代美術館で開催の「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」を見てきた。

予備知識なしで行ってきた。解説そのものはTokyo Art Beatとか現美のサイトを見ていただくとして。おそらく解説なしでは意図がわからなくて、リーフレットの解説を見てかろうじて意図がわかったような気になるという展示。ただ、伏線みたいなものは張られていて、よく見てよく考えて行くと、理解とはいえないかもしれないが、突然繋がったりする。

割られることが(最後まで)ないくす玉、作品の裏側、自己の記録という記録*1、視点を意図的にずらしたもの*2、ずれて見えるように作られたもの、いろいろ。

RGBをCMYKで再現しようとする試みは好きかなあ。

人生の切り売りは好きではないが、この場合、背景を知っていると面白い、というよりは記録は記録として眺めるのが正解なのかもしれないとも思った。通帳とキャッシュカードが並ぶのはわりとポップアート(もしくはレディメイド)っぽいとも思ったり。

ついでに「MOTアニュアル extra(エクストラ)」も見たけど……MOTアニュアルを見ないとこれ単体で見てもあんまり意味ないかな……。

 

 

*1:成績表、作られた通帳とキャッシュカード・振込カード、クレカや学振のの否決案内、株や保険のあれこれ

*2:歪んだ定規、一部分だけ露出……というか見えるようにした機械

「きらめき彫刻祭」を見てきた

昨年あった「うららか絵画祭」の主催者「ストレンジャーによろしく」が主催。今年も谷根千エリアを中心に11ヶ所で開催された展示群。

彫刻ってなんなんだろうね。

インスタのキャプションそのまま載せます。考えながら書いてたのだけど、いつも頓珍漢なことを考えるほうなので、これもきっと意図とは違うことを考えてしまっていると思う。

途中、「こういうのはどうやって見たらいいのかわからない」という紳士と話をした。見たままでいいんじゃないかなーと適当なことを言ってしまったが、どうなんだろう。
「考えるな、感じろ」かなあと思いつつ、わりとたくさん考えて見た、たくさんの作品群。


1枚目、もうここで(元の持ち主は)新しく作ることはない。
2枚目は、会場の外から見るスタイル。
3〜4枚目は映像をひととおり見たい。
5〜6枚目はキャプションを読んでから見るとここにある意味がちょっとだけわかる気がする。
7枚目、「どこから」いなくなったのか。
8〜10枚目、この会場にある意味とは、って考えてしまった。あの頃と今を繋ぐなにか。

よく考えたらどれも「不在」がどこかにありそう……。

  • 『あしたふく風』(旧平櫛田中邸)
    コラボレーター|モノ・シャカ
    キュレーション・アーティスト|村岡 佑樹
  • 『地球に線を引く Drawing a line on the Earth』(櫻木画廊)
    キュレーション|飯盛 希
    ​アーティスト​|黒木 結
  • 『God bless you』​(haco - art brewing gallery -​)
    ​キュレーション​|齋藤 圭一郎
    ​アーティスト​|中田 愛美里
  • 『出窓で待つ』(感應寺 境内)
    キュレーション​・アーティスト|森山 泰地
  • (感應寺 外壁)
    小倉 孝俊
  • SUKIYAKI Fragments −黄昏の間–』(朝倉彫塑館)
    キュレーション|北山翔一
    アーティスト|石川洋樹、井田大介(Daisuke Ida Collection)、大森記詩、北山翔一、木本諒

ゴーレム、と聞いてドラクエしか出てこない自分の知識の浅さよ。ファンタジーと魔法とあとなんだろう。
よく「男の子はこういうの好きなんでしょ」とか言うけど、それってジェンダーバイアスだよなあ。誰もそんなこと言わないけどさ。

  • 『GOLEM Ph1.5』(半澤美術店)
    キュレーション|石野 平四郎
    ​​アーティスト|石野 平四郎、植田 明志、蔦本 大樹、​​中西 宏彰、森田 悠揮、米山 啓介

1〜3枚目、三者三様の動物の捉え方。
4枚目の作品は、ぜひ会場でレジュメを読んでから鑑賞してほしい。
5〜7枚目、自然とは。自然だから優しいとか安全て誰が言い出したんだろう。
8〜10枚目。キャプションというか、レジュメを見たほうがいいし、会場にいる方に説明していただいてもいいかも。あと、一つ見落とさないように。

  • 『Animal Trail』(LIBRE​)
    キュレーション​|佐野 藍
    アーティスト​|佐野 藍、瀬戸 優、萩原 亮
  • 『髙橋銑』(渡辺歯科医院)
    キュレーション​|​HB.
    アーティスト​|髙橋 銑
  • 『景観観察研究会「自然の中の人為」』(The 5th Floor​)
    キュレーション​|​山本 修路
    ​アーティスト|筏井 宏美、伊勢 武史、山本 修路
  • 無重力の天秤』(ギャラリー美の舎)
    キュレーション​|​大塚 諒平
    ​アーティスト​|大塚 諒平、江藤 佑一、前田 春日美

作者情報はあとで追記します。追記しました。

自分は参加しなかったけれど、ワークショップで折り紙を彫刻に見立てて作る、というものがあったらしい。折り紙は彫刻。

1ヶ所だけ、写真に撮ったけどどうにも上手く撮れなかったのはインスタには載せてない。見えるけど見えないもの、が、意図だとしたら、上手く撮れなかったのは意図の通りだとおもう。

【ふじのみや西町ブックストリート】ありがとうございました

一般道で行こうかと思っていたけれど、思いの外出るのが遅くなってしまったので、8割くらいは東名自動車道を使って行った。もうナビはいらないくらいには慣れた道だ。

9時までにお入りください、と要項にはあって、ついたのは8:57くらい。ギリギリセーフ。荷物を下ろす。テントも持ってきたけれど、雨降るわけでもないのでこれは設営せずに終わった。

ふじのみやの古本市は子連れの方が多く、今回も絵本的なものを少し多めに持ってきた。自作の本もあるにはあるけど、ぶっちゃけていうとあまり売る気はない。あくまでもメインは古本のつもり。

周りを見ると、古本……の他に自分で作った袋物だのマスコットだの、中には漬物やら置物置いてる人もいて……こうやって場が作られていくんだなあと思って見ていた。

10時に開会、すぐ近くで駅伝大会はやっているけど、関連性があるかというと、まあ、ないわな。なので、出店者さんたちと話ができたらいいかなと思っていた。

が、前回あたりから人が増えてきたようで、今回も出店者以外の方がだいぶいらっしゃるようだった。古本、古物の基本は開幕ダッシュらしいので、そういうのを狙ってきたのかしら、とも思う。

途中、お汁粉が配られる。売り物のようだけど、出店者には配られるようだ。温かくて美味しい。

互いに互いのところを見に行ったり、持ってきたものの説明をしたり。途中、一瞬だけ雨がパラパラしてきて焦ったけれど、一瞬で終わったので良かった。

今回はお向かいの出店者さんの漬物とエプロン(古本市なのに……)、TANZAN BOOKSさんのところにある遠州木綿のがま口(古本市……)を買った。本はちょっと今回は増やせなかった(いやほんとすみません)。

お財布を別にしているので、手持ちが少なすぎるのが敗因。今度はちゃんと予算立てて行こう。

終了後は「 じねん坊」さんという鉄板焼きのお店で富士宮焼きそばを食べながら歓談。楽しかった。なかなかゆっくり話す機会もないもんなー。

あまりに美味しかったので、お土産用の富士宮焼きそばセットを買ってきてしまった。なんかホルモン焼きも美味しいという情報があったのだけど、お腹いっぱいで入らなかったのでまたいつか。

話は戻るが、会の途中、高校生くらいの女子二人がうちの場所の前でずっと本を作りたい、ネタはあるんだ、などと熱く話していた。

イベント主催者でもあるおじさんとしては「いつか本を作ったら、出店してね、それまでイベントがんばって続けるから」としか言えなかったのだが、将来有望だなあ、と思った。

ラジオドラマの脚本とか書いてるらしく、見せてもらえたのだけど、声に出して言うための条件は揃ってそう。*1

そして、本を買っていただいた。ありがとう。学割効くよと言ったけれど「いや、こういうのにはちゃんと出すことにしてるので」と言われてしまった。偉いなあ。

というわけで、なんだかとてもいいイベントでした。次もあれば参加したい。

絵本的な何かと、詩集……? 詩歌を次は充実させてみますか。こうやってどんどん古本屋みたいになっていくんだろう*2

というわけで、またどこかで。

ちなみに今回はこういういでたちでした。

本のイベントなので、書生スタイル、トンビ付き。がっつり着込んで行ったので、思いの外寒くはなかった。

*1:とはいえ、自分もうっかりしてたのだけど、見知らぬおじさんにうっかり見せてなどと言われてもあんまり簡単に応じちゃダメよ、とも思った。あの場だからまだ良かったけど、ろくでもない大人はどこにでもいるからね

*2:自分が読みたいものを買い揃えていくスタイルなので、本棚が詰まっていくけど、不良在庫にはならない……と思う

【出店のお知らせ】ふじのみや西町ブックストリートに出店します

第4回 ふじのみや西町ブックストリート

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……に出店します。自分は3回目の出店。毎回、商店街のイベントに合わせて開催しているようで、前回、前々回はすごく賑やかな感じでした。

そして今回は駅伝!(笑)

近隣の商店街もまたなにかあるのかなー。焼きそば食べるのが楽しみなんですよね。

それにしても1年で4回ってのはなかなかのハイペース。認知度上げるにはいいことだと思う。

今回は(今回も?)自作本やら家の本棚から抜いてきたのやらでお送りします。とはいえさすがにそろそろネタ切れになってきた感あるな……。CDとかも持っていくか……?

当日の天気、雨は降らないようですが、なんか寒そうなことが予報で出てきてるので温かい格好でいらしてくださいね。自分もたくさん着込んで行きます。

お待ちしてます!

 

「翻訳者、豊﨑由美と読んで書く」を読んだ

翻訳者たちが、海外の本を読んで書評を書く。その書評の講評会の記録、のような物。講師は書評家の豊﨑由美。

豊﨑さんはSNSで活動する若い書評家というか本のインフルエンサーに噛みついたりするけど、基本的には書評家としては信頼できる人だと思う。

講評の対象となる書評がまずあって、それに対する講評、という流れで読み進めることになる。書評王という優れた書評が後ろに二つ載っているが、どれにしてもどこかしら修正点があって、そこを直せばより良くなるということなのだけども。書評を書き慣れない自分にはどれも良く見える。ただ、読み進めていくとやはり、わかりにくい部分があるもの、これ読んじゃったら紹介されてる本は読まなくてもいいかなと思うものがあって、この本を読み進めることで自分の書評に対する目が養われる。

途中、同じ本に対する二つの書評が続いていて、前者は当たりの柔らかい文体、後者はかっちりした文体、想定している媒体が異なるので違って当たり前なのだが、どちらを読んでよりその本を読んでみたくなるだろうか、ということを考えたりもした。

見本がないと動けないタイプの自分には、こういうふうにすると出来はともかく書ける、ということがわかったのでそれは収穫だと思う。あらすじ書くのが超絶下手くそというのが自分にとっての最大の課題だろうなあ。

喋りすぎても、喋らなさすぎてもダメというのは書評に限ったことではないが、匂わせ、寸止めのようなテクニックや、情報の取捨選択……どうせ全部は入れられないのだから、要となるところを見極めてそこを推していく事が大切なのだろう。

これは海外文学に限ったことではなくて、たぶん汎用性の高いものだと思われるので、書評を書いてみようと思う人は一度でも読んでみるといい。

次号は企画立案中らしく、どんなふうなことをされるのか楽しみ。

「顔たち、犬たち」を読んだ

オカワダアキナさんの「顔たち、犬たち」を読んだ。

よく聞けこれはおまえの話。おれの話。どっちでもいい。
ずるい男のずるい話。男性性の呪いについて。

(通販ページの紹介より/ 顔たち、犬たち | ザネリ

妻がいるが男とセックスする男。ゲイともFTMともする。紹介にもあるが、なんせずるい。そのズルさは「お前ばっかいい目にあいやがって」というズルさではなくて、問題をずっと先送りにしてなんの解決もしたくない状態をずるずる続けているようなずるさ。

最初、語源通りの意味でqueerでズルくてほんっと男って存在させたらあかんな、と思いつつ読んでいた。まあでも初っ端の印象は読んでいくとだいたいひっくり返されるから読み進める。家庭からも何からも逃げようとして(たぶん優柔不断とか心的弱さゆえに)逃げられなかった父を見ていて、その父からの父性的愛情の欠落が優人(結婚してる男の名前)の立ち位置の不安定さを招いてる。

で、その立ち位置の不安定さ故にゲイであるムムくんやら、なりゆきでFTMである今くんとセックスするようになる。他の行きずりの男ともしちゃうのは自分が定まってないから(SOGI的にも心的にも)、その定まってない自分のことがわからないから流されかかってるからなのだろう。それか、自分から流れちゃってる。

ものすごくめんどくさいタイプの男だ。

たぶん、素直でかわいいところのあるムムくんや、ちょっと冷めたところのある今くんがうらやましいのだろう。ムムくんはともかく、今くんのその冷めたところはおそらく鎧のようなもので、それがあってようやく今くんが今くんであるのだろう。

優人がそこまで見てるかはわからん。彼らをうらやましいと思っていることを本人が認識してるかどうかもわからん。わかんないならわかんないで立ち止まればいいのに、動くから迷子になるんだ。

この小説、全編をとおして二人称で語られる。二人称だけど、語り手は優人で、だからこれは心理学で言うところの「超自我」と言うやつなのだと思う。俯瞰してるからこその優人のめんどくささが際立つというか。自分もああだったらもうちょっと楽に生きられたかもしれないのにね。

ぶっちゃけていうとなんの解決もしない。むしろ受け入れちゃってるからこの先もこのままなんだろう、という気はする。永遠には続かないだろうけど。

どこかでバランスをとらないと正常を保てないのなら、それは正常ではないのだけど、本人がそれでいいならいいんじゃないの、という気がしなくもない。ずっとなにかから逃げ続けていくか、そのうちあるかもしれない何かとの決着がつくまでは。

たぶんに誤読しやすい性分ゆえ、オカワダさんには「そうじゃないんだよなあ」と言われるかもしれないが。

男の人はこういうの読むの苦手と思うかもしれないけど、ぜひ一読をお勧めする。たぶん、自分の立ち位置のことを考えると思うよ。

つくることとそれを届ける方法

なんか三日連続出かけてるな……。

浜松ハンドメイドマルシェに行ってきた。浜松では初開催。

 

横浜のには行ったことがあって、そのときは「文化祭みたいだなー」と思って帰ってきたのだった。それを生業としている人ももちろんいるけど、そうでない、趣味の延長というか、どのご家庭にもいらっしゃる同人作家さん、みたいな感じの人が多いと思った。

ホールひとつ分とは言っても、ビックサイトみたいに広すぎるわけではなく、どっちかというと蒲田のPiOみたいな感じ。端から端まで回ってぜんぶ見るのも苦にはならない。

編みぐるみとか、毛糸が髪の毛になっているようなカントリー人形みたいなのとか「お母さんそれ一個作るのにどれくらいかかります?」みたいなのがちらほらあって、見てるだけでも楽しい。

ダラダラ見て回って2時間くらい、薄い長財布を買って帰ることにした。

壁用のクロスを使って作ってあるそうだが、おしゃれな柄じゃないですか。コレが遠くから「お前こういうの好きじゃろ」と呼んでいたので、購入した。これなら和装した時の懐に入れられそうじゃないですか。

Twitter(現X)でもなんかいいねを思ったよりいただいたので、やっぱりこれかっこいいよね、って思った。

またあるらしいので(今度は四月?)、また来よう。