空想少年通信

素人物書きのつれづれブログ。

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ごめんなさい

修学旅行中、どうしても眠れなかった。 体を起こして同室のヤツの寝顔を見て、ごめんねと言ってみた。もちろん返事なんかない。 僕が誰と一緒になるかクラスの中でかなり揉めたらしい。 だけど彼は全然顔に出さずに僕の相手をしてくれた。 時々つくため息の…

スカイツリー

塔を照らす灯りが消えるのを見られたら願いが叶うのだという。 夜中、家を抜け出して見に行った。酷く寒い夜。 うわぁ、という歓声と灯りの残像が僕の前にあった。 見えた。 全てがなくなってしまう前に僕はたった一つ、願った。 もうこれ以上独りにしないで…

泣かないで

ずっとこうしたかったんだ、と抱きつかれたときにどう反応していいかわからなかった。 君はただ泣いていた。シャツが濡れるなと思ったけれど引きはがすのはやめた。 冷たいヤツと思われるのは嫌だった。 ただ、毎日顔を合わせていてこうなるんじゃないかなと…

教室

教室に僕がいないことに気づかないわけはないと思うけど、たぶん誰も気にしてないだろう。ここにいたくないのかと聞かれてそれほど、と答えた時の先生の険しい顔が今でも笑える。連絡すると言った彼は結局何もしてこない。約束ってそんなものと思う自分がい…

打ち上げ

冷静に考えたら、今まともに空気読んだら何もしちゃいけないと思った。学園祭の打ち上げがあるとみんなが話をしている。僕はなにも聞いてないふりをして帰ろうとした。君が手を引っ張って「一番働いたのに」というけれど「みんなヒいてるよ」と振り払った。…

hate to tell a lie

宛先間違えたフリをして「ずっと好きでした」とメールを送った。すぐに「宛先間違えた(;><)」と送ったら「嘘つかなくていいよ。とっくに知ってるから」って返事が来た。

にっき

きょう おにいちゃんは ゆきちゃんのいえで けっこんしますっていうんだ。 ぼくは るすばんかな と おもったら ゆきちゃんが いっしょにきてって。 おとうさんたちは ぼくに いいこだねって いってくれたよ。 ぼくは おにいちゃんを よろしくおねがいします…

コーヒー・ア・ショート・アメリカーノ

頭が痛くなるからとあんまりつきあわないスタバに今日は一人で来ている。君はいない。先週ケンカして連絡なんかもうしないって言ってそれっきりだ。バカみたい。お店の人にコーヒーを薄くしてって言ったら本当にその通りに出てきてもっと早くそういえばよか…

あなたがぼくにくれたもの

僕の誕生日に先輩はこっそりプレゼントをくれた。珍しいと思ったけど、そういえば顔は真っ赤だった。革ひもにリングが通してあって、よく見てみたら内側に「だいすき」ってあった。英語で。先輩、顔も身体もごついくせにやることが乙女すぎます。明日見せる…

待つわ

毎日のようにここで君を待っていて、なんのためにそうしているのか、本当に君を待っているのか、わからなくなる。こんなふうにしていることそのものが好きなのか、そうじゃなくて違う他の理由かも。きっと迷惑だろうなと思いつつ今日も君を待つ。

君は いるだけで

自分を嫌いになるなって別に最初から自分なんか好きじゃないし、いろいろもてあましてバランスとれないでいるわけでもなくかといって器用に生きる方法を知っているわけでもない/いてもいなくてもいい自分誰かに必要とされる君、どれくらいの違いがあるのか考…

期限

死神が迎えに来てから一週間、明日が期限だという。覚悟は決めたからいいがあんたと話してて俺、危ないヤツだと思われないかねというと、もともと危ないから大丈夫と返された。普段から独り言が多いとこういうとき怪しまれなくていいよね、ってそれはそれで…

日焼けのあと

今年も今日でプールは終わりだと言われた。もう君の水着姿でドキドキしなくてすむんだなぁ。「おい、見ろよ。こんなに焼けちまったよ」腰の辺りをめくって見せてきたのでお茶を噴きそうになった。やめろっ。俺を殺す気かっ。

ビー・エル

寒いと思ったらリモコン片手に立つ君が。「エアコンの温度下げんな」毛布にくるまったら「鍵もかけずにパンツ1枚で寝てるヤツが悪い。襲えと言ってるようなもんだろ」といって乗っかってきた。今、かなり誤解されやすい状態だから、と思っていると猛烈にじゃ…

横恋慕

朝から洗面所を占領している弟。どーゆーこと? とぶーたれていると「デートだって」と母さん。えー、なにそれじゃ彼女出来たの? 浮かれるあたしに「違う、友達のデートのつきそい」と浮かない顔の弟。俺のほうが絶対いいってわからせてやるとか言って出かけ…

家族ゲーム

「あんたはデパートの屋上で拾ってきた」と母によく言われた。母は僕が泣いて否定するのを期待していたようだが、僕は「それならそれで仕方ないな」と思って「ふーん」で済ませていた。母は驚いていたようだが僕は夜な夜な布団の中で本当の家族が迎えに来る…

リトル・デイト

デートの度に小さな弟を連れてくるから本当は二人で会いたいんだけど、とさりげなく伝えてみた。弟くんは涙目で「僕一人でお留守番できる」というし彼は「夜間保育所探すよ」という。なんかあたし一人で悪者みたいじゃないか! そりゃ彼がふたり暮らしなのは…

家出

家出してきた友達は結局俺の布団で寝てしまった。連絡しようかどうしようか迷ったけどそれもしてない。汗をかいた顔をタオルでぬぐうと「好き」と寝言を言った。好きならその人を困らせるんじゃないよ。俺の気持ちなんかちっともわかってないじゃないか。

ライトノベル

パンくわえて遅刻遅刻とかマジありえないし、と思っていると通りの向こうで本当にぶつかって、教室ではそれで半分ケンカになっている男子女子。「これ、返す」ハンカチ差し出し顔真っ赤の男子。困ってたから貸したのにそれで好きになられても。少なくとも僕…

写真撮影

卒業アルバムの写真を撮っているときに、君のことを見ながら「もう会うこともないんだろうな」と思った。「同窓会かったるい」「ま、どうせ誰も呼ばないだろうけど」それが本当だとしても君の口からその言葉は聞きたくなかった。これがあいつからなら納得し…

別れの曲

お前わがまますぎ、といいながら弾く彼のピアノが僕は好きだ。こういうのと言うとさらさらと音が流れていった。「今日弾いたのはなんて曲?」「別れの曲」じゃあ、もうこれで最後にする。引っ越すから、と言うと君は少し驚いていた。「やっぱりお前わがまま…

nobody knows

生まれ育った場所を離れ、両親もいなくなってしまった今、そこに戻る理由なんかない。どうにか生きているこの町で君に出会い、君を守って生きていくことにした。思い出なんか今から作ればいい。僕を知る人はもうここにしかいないのだから。

喫茶店

学校が終わると制服のまま街まで行って裏道にある喫茶店に入るのが好きだった。たいてい一人だったので参考書だの文庫本だのを見ながら少しの時間を過ごした。あるとき試験後に久しぶりにそこに行った。「試験、どうだった」「まぁまぁかな」それがマスター…

さよなら

君と別れた日、一人になった瞬間にケータイのメールを全て消した。どうでもよくなったのだ。次の日、君に会ったが(仕事で)なんの感情も持たずにこなした。薄情だと言われたがもう君とは関係ないのだよ。

引き際

いつも輪の中に入れずに眺めているだけだった。いい年になった今もあまり変わらない。入ったところで場をひっかきまわすだけだとわかっているからだ。今日もイベントの準備を手伝いつつ、引き際を探っている。

アニバーサリー

科学実験で喜ぶ君を見て、本当にここでよかったのかと思った。どこへ行きたいか聞いて即答だったからいいのだけど、友達は芸がないと言うし。もうすぐプラネタリウムの上映だよと手を引かれた。だって記念日だし。ああ、そうか。君とここで出会って今日でち…

じゃあね

永遠に夏休みのままでいるにはどうすればいいか、ほんの少し考えてた。誰かが迎えに来たのでついて行こうとしたら意識はこの世にはなかった。ちょうどよかった。どうせ必要とされてないのだから、これでよかったのだ。

sing sing sing

駅前のうるさい中で一人で歌ってみた。本当はこんなこと絶対に出来ないような性格だけどどうせ誰も聴いていないだろうと思うと不思議と緊張もしなかった。慣れないギターを鳴らしながらようやく一曲歌い終わった頃、君が缶ジュースを投げてきた。急に緊張し…

きづいてよ

いくらひとりぼっちだからって会話を頭の中だけで済ませて満足するようじゃダメだと思った。誰かと話そうにも相手がいない。ネットは怖い。誰かいませんか、とつぶやいたら「ここにいるよ」とリプライがついた。窓の外から声もする。見ると、ケータイを持っ…

僕でなくても

いきなり僕の背中に冷たいものが突っ込まれたので大声を出してしまった。呼んだのに気づかないから、とアイスを持って少し怒っていた。「ごめん」アイスを受け取るとそのまま君の顔を見つめていた。なんで一緒にいられるんだろう、と思うと不思議で、申し訳…