今年も藝大の卒展に行ってきた。去年見て良かったからだが、前回は時間が足りなさすぎて後半、駆け足で見たみたいになってしまったので、今年はなるべく開館時から見ようと思って行った。
前回はコロナ禍ということもあり、どうしても作者の内面を掘り下げたようなものが多かったように思ったが、今回は前回よりも少しだけ目が外に向いているような、でもフラットな視点のものが多かったように思う。
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たくさんのスピーカーで演奏の違うボレロを同時に鳴らしその揺らぎを感じ取るもの*1、ロダンの彫刻を搬入出する箱と同じ構造の箱に生身の身体を納めて搬出、運搬していく動画*2、ゴリラ女子校案内*3、油画は今年は油画が多くて、代が変わると視点も制作も変わるのだなと思った。
(このへん、資料が見つかればリンク貼っていく)
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好きだったもののリンク(インスタに上げたものも好きだが、以下のリンクは上に置いたインスタ以外のものが多い)
場所が場所だった頃|横山 渚
(採石場や、掘った土を捨てる、過去は別の景色だった場所)
齋藤齋-無柱|齋藤 圭一郎
(この方のもう一つの展示が、木箱に人体を収納して搬出、運搬していく動画作品)
82番目のポートレイト|木藤 遼太
(たくさんのスピーカーでボレロを同時に再生していく)
金魚|河崎 海斗
父母へ|小倉 美沙紀
疑いもなくすべては生き生きとした現実で|鴫原 夕佳
fish|山本 明音
part/whole|中野 優太
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たぶんそれなりに展示を見、解説を聞き、無に等しかった知識がれいてんいくつ、くらいにはなったからだろう。解像度が少しだけ上がって、受け止める力がついたのではないか。それは逆に年々「つまらなく見える」可能性があるのだが、ただ目にして「すげーなー」と思う気持ちも持ち続けたい。
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たぶんだけど、やっと「図工2」の呪縛が解けてきたのだと思う。作れないなら見る側に回ればいい。好きなものを見つけたのなら好きと言えばいいし、それだけのことなのだと思う。